今回は裁判にもなってしまう、誤嚥事故についての考察です。
想定されたリスクを回避するための行動をしていなかった場合、負けてしまいますね。
ただ、この誤嚥事故、そもそも本人の希望で食べているのに、詰まってしまうと裁判になってしまう、という理不尽な仕様です。
当たり前のことを必ずこなす、これを繰り返しこなさないと訴えられてしまいます。
日常的な介護の質を高いレベルで維持しなくてはいけません。
本記事では、高齢者に誤嚥事故が多い、本当の理由を紹介していきます。
食品による窒息事故の原因となる食品は全部
「餅」
「ミニカップゼリー」
「飴類」
「パン」
「肉類」
「魚介類」
「果実類」
「米飯類」
食べる側の注意点
- 食べやすい大きさにする。
- よく噛んで食べる。
- 硬くて噛み砕く必要のある食品(豆やナッツ類など)を5歳以下の子どもには食べさせない。
- 球状の食品(ミニトマトやブドウ等)を丸ごと食べさせない。
- 姿勢を正し、集中して食べる。
高齢者に誤嚥事故が多い3つの理由
食事を食べる際は、食べ物を認識し、唾液を出し、噛んで飲み込む動作が必要です。
どの動作が衰えても誤嚥リスクは増えます。
全部食事をミキサーかペーストにしてしまえば、そもそも事故が起きません。
ただ、この動作で得られるものが多いです。
- 美味しさを感じる
- 噛む力の維持
- 全身の筋力維持
- 気力の維持
生きる力の源と言ってもいいですね。
①嚥下能力は低下するが、食べたいものは食べたい
ペーストは味気ないですし、食べ物としても認識しにくい食形態です。
食べれなければ仕方ない、と思う人も多いです。
実際高齢者施設では、どうにかして本人の希望を叶えたい、と食形態や食べ方、サポートに工夫を凝らしています。
②食形態が合っていないというか、リアルタイムで合わなくなってくる
高齢者の体調悪化は早く、昨日出来たことが今日できるとは限りません。
そのため、見守りや確認しやすい場所で食べてもらう、などの工夫が必要になってきます。
ただ毎日同じ業務を繰り返す感覚になってしまったり、担当フロア以外のヘルプで勤務する場合は注意が不足してしまいます。
そういった場合、誤嚥事故は起こる事例が多いです。
③食形態を落とすと、多くの能力も低下する
介護職員の中には食形態を落としたくない人も多いです。
食形態が刻み、超刻み、ペーストになっていきますが、食事としての認識自体も難しくなってきてしまいます。
味やカロリーも低下しますし、噛む力も低下します。
噛む力は衰える、食べたいものを食べたいから誤嚥事故を起こす
食形態は常食・刻み・超刻み・ペーストと変化していきます。
ですがおまんじゅうやおせんべいなど、好きなものは食べたいものです。
食形態を落とすと噛む力は落ちますし、日常的な訓練をしなくなるのも同義ですので、身体能力も落ちていきます。
食形態などはケアプランで決めていくこともあります。
誤嚥事故は、要するに自分が食べたいものを食べていて、つまらせてしまった、が実情です。
即ペーストにしてしまえば、誤嚥事故のリスクは減ります。
ですが高齢者は衰えているが、食べたいものを食べさせたい、そういったケアする側の願いもあるため、安全なはずの高齢者施設で誤嚥事故が起きやすいのです。
何故介護施設が悪いのか?
理由としては
- 施設側が見守りしていなかった
- 直後の対応が不十分
- リスクに対する対策をしていない
- 説明がきちんと出来ていない
ですが、そもそも人材が不十分で全員見守りなど無理。
リスクの把握と対策、この2つをしているか、が裁判の分かれ目でしょう。
まとめ
- 食べたいものを食べると詰まる
- 対策をし、維持しないと裁判になる
- 食べたいものを食べるのはリスクが高い
- 生きるのは食べること
- 責任の所在を求められてしまう世の中
介護施設にはちゃんと預かってくれる、という認識を持たれているケースが多いです。
そのため、何かあった場合責任の所在を求められた結果、裁判となります。
介護職員や介護に携わる人にとっては、理不尽に感じると言うコメントが多いのはこれが理由です。
客観的に考えれば、施設側のミスとも感じる事例も多いです。
ただ個人的には、高齢者の誤嚥は食べるのが難しくなった寿命と言ってもいいと思っています。
ですが対策と説明できるケアである、この②点は必須。
日々のケアを真面目にこなしていきたいですね。