介護士の年収はいくらなのか?
将来性はあるのか?
年収をアップさせて、最終的にどのくらいを目指せるのか?
2023年現在、様々な処遇改善がされてきましたが、未だ介護士の年収は低いとされています。将来性を悲観し、中々介護士が集まらない、そういった施設も多いです。
ですが、勤続20年の介護福祉士の私から言うと・・・介護士の年収は普通よりやや上、という印象です。
ですが実際の印象は介護士の年収は低い、仕事が大変で将来性や生産性がない、底辺の職業だ、などと言われてしまう場合すらあります。
実際に働いている介護福祉からすれば心外ですし、一緒に働いている同僚もなぜそんなに介護の仕事の評価が低いのか、不思議に感じています。
介護士の年収は日本の平均と比較してどのレベルなのか、今後の処遇改善はどうなっていくのか、介護士の平均年収について、様々な角度から解説していきます。
介護士の平均年収の個人差が大きい3つの理由まとめ
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地域加算があるため、都道府県によって介護報酬が違う(最大20%)
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勤務する事業所や、経験年数により平均年収が変わる
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資格を取得することで給与はアップしていく
おすすめ介護転職支援サイト
多くの転職サイトに登録し比較するのも良いのですが、情報量が多く整理が難しくなるため、多く2つ位が推奨です。
- 介護士の年収・給料と他職種の年収・給料比較
- 介護士の生涯年収と一般サラリーマンの生涯年収比較
- 介護士の月収は勤続年数で上昇する
- 介護士の給与は介護施設種別で7万もの差ができる
- 介護職の年齢別の給与・年収の推移、20代の年収は約300万円
- 地域区分からわかる都道府県別の年収格差
- 介護士の基本給が安い理由
- 給料アップする方法
- 介護士が取得するべきキャリアアップのための資格
- 2023年以降、今後給料は上がる?
- 実際の求人情報から見る2023年介護士の平均年収・時給は?なぜこんなにも数字が違う?
- 介護士の平均年収まとめ
介護士の年収・給料と他職種の年収・給料比較
正社員の介護士
平均年収430万円
平均月収31.7万円
他職種平均(正社員)
平均年収508万円
平均月収42.3万円
ただし、この平均年齢は46.9歳、平均勤続年数12.6年となっており、ベテラン、役職者が多いと思われます。
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」,144p
参考:国税庁の民間給与実態統計調査 002.pdf (nta.go.jp)
ただ他の調査データも確認したのですが、令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)では
一般正社員
平均月収32.3万円となっていました。
どちらにしろ、介護士は平均的な収入よりやや低いポジションになっています。
最終的に介護士は年収550万円位が最大値です。
また年齢的には40代前半が最高になり、以降は身体的負荷のため夜勤を減らす人などが増えてくることから、維持もしくは下降になる傾向があります。
派遣とパート、介護士が働く場合はどちらが良い?
パートの介護士の平均基本時給は1,120円です。
東京の最低時給は1,072円ですので、それよりやや高い、といった結果です。
ですが実際は東京の介護士は競争が激しいため、時給はより高額になる傾向があります。
逆に地方では各都道府県の最低賃金に近い金額であるケースが大半です。
青森県や秋田県では最低時給は853円ですので、都道府県によっては900円以下にもなります。
ちなみに当方静岡県の場合、時給940円以上ですので1000円位が相場のようです。
派遣の介護士の平均時給は1000円から1800円と幅がありますが、中央値では1400円位になります。
この額は介護福祉士限定ですが、パートより派遣の方が収入は多くなりそうです。
介護士の生涯年収と一般サラリーマンの生涯年収比較
日本のサラリーマンの生涯年収は約1.9億円です。
男女で違いがあり、男性は2.3億、女性は1.3億となっています。
介護士の場合、平均年収は430万円となっていますので、介護士の生涯年収は1.7億円ほどになり、介護士に女性が多いことを考慮するとほぼ同じかやや低いと言っていいでしょう。
ただ介護士はキャリアアップや資格取得、夜勤を多くする、などの年収を上げる方法がいくつかありますので、より生涯年収を上げていくことができます。
また介護士は地域の社会性を支える仕事でもありますので、長く勤務している人ほど信用も上がります。
近所付き合いなどの印象もアップしやすいため、収入以上のプラス要素もありますね。
介護福祉士の他、ケアマネを取得すれば独立も可能ですので、より年収は増やしていくことが可能になります。
介護士の月収は勤続年数で上昇する
介護士の月収は主に勤続年数が長くなるほど上昇します。
勤続年数で給料が上がる仕組みは、介護福祉の職が準公務員待遇であった時代のなごりでもあります。
介護保険前の措置制度では介護福祉は施しとも言われる分野であり、入所している人も亡くなったら知らせて、くらいのケースが多かったのです。
上のグラフは厚生労働省の介護職の平均給与額を参照して作成したものです。
年齢給・能力給の区分に加え、それぞれ経験年数が考慮され月収は上がっていきます。
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」,164p
介護士の給与は介護施設種別で7万もの差ができる
グラフを確認するとわかりますが、施設種類別にデイサービスと特養では夜勤の有無などにより月収が5万から7万の差が出てきます。
基本的に施設規模の大きい方が給与水準も高くなりますので、特養や老健の月収が最も高くなる傾向があります。
ですがデイサービスでも正社員で管理者になれな収入はアップしますので、デイサービスで勤務すると必ず給与が低くなる、ということはありません。
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介護職の年齢別の給与・年収の推移、20代の年収は約300万円
介護職の年齢別の給与や年収は以下のようになっています。
年齢別に少しずつ上昇していますね。
介護職の給料は勤続年数や経験で上昇していくため、このような結果になりました。
①20~24歳 月収約22.6万円 年収約307万円
②25~29歳 月収約24.8万円 年収約347万円
③30~34歳 月収約26.9万円 年収約383万円
④35~39歳 月収約28万円 年収約400万円
図では以下のようになり、月収、年収共に同じような曲線になり、安定しています。
年齢別各層の傾向と年収の上昇要因
①20~24歳
仕事内容を覚える時期であり、最低限の月収になります。
また24歳以下の場合、高卒や専門卒での就職になりますので、基本給が最大になる大卒が含まれていないことが要因です。
例えば高卒の基本給は16万位からですが、大卒は19万位からになっていますので、その時点で3万円ほど違ってきます。
②25~29歳
大卒の介護職員の給与も含まれるようになり、平均年収は上昇してきています。
40万円の差が出ていますが、大卒と高卒では介護士の年収は月3万✕12ヶ月で36万円違います。
結果、平均年収の底上げがされてきています。
③30~34歳
処遇改善加算に加え、特定処遇改善加算も役職や経験を積んだと判断され、倍増する時期です。
役職になることでベースもアップし、結果として年収は36万円アップしています。
処遇改善系の加算の取得が上昇は介護士の年収に大きく影響を与えますね。
④35~39歳
この年齢層では主任やリーダー職、もしくはベテラン職員として会社を支える存在になっている時期です。
少しずつ昇給はありますので平均年収は上がっていきますが、上昇は17万円と大きくは上がっていません。
介護報酬自体が上昇しにくいため、基本給の上昇はしにくいという介護士の性質が影響しています。
地域区分からわかる都道府県別の年収格差
こちらの表は地域により介護報酬に上乗せされる、地域区分です。
1級地の東京特別区では20%も地域区分として介護報酬にプラスされます。
人口や最低時給などに関連して区分けされており、介護保険の収入の6割以上が人件費です。
介護保険収入が大きく違ってくることで、使える人件費にも差ができ、結果として地域ごとの年収格差が大きくなってしまっています。
介護士の基本給が安い理由
・収入源は介護保険のみである
・介護保険は3年ごとの改定で収入が下がることがある
・施設の大型化が進み、建設時のローン負担が大きく貯金に回す傾向がある
・業務独占がされておらず、職業としてのハードルが低い
・大卒で介護士になる人が少ない
収入の上限があるため、他職種と比較して大幅に収入を上げる方法がありません。
しかも3年ごとに介護保険の改定があり、マイナス改定になる場合もあります。
その場合収入は大幅に下がりますが、基本給は下げることはまずできません。
施設の大型化が進んでおり、100床以上であった場合は利益が出やすいとされています。
施設建設時に補助金も出ますが、それでも建設による金額的負担は大きいです。
介護士の基本給の要素として学歴があり、大卒が最も高額になりますが、大学卒で介護士になる人は専門校もありますが、そう多くありません。
高卒や専門卒、主婦が転じてなる場合が多く、基本給が最初から20万円を超えるケースは少ないです。
自分も短大卒でしたので、基本給は17万円スタートでしたが、大卒は基本給20万円からでした。
給料アップする方法
職歴20年の介護職員が検証!介護職の給料が上がる?給料アップの本質とその方法 - 介護職員の疑問を解決するブログ (hateblo.jp)
こちらの記事にも給料アップの方法は記載していますが、方法はいくつかあります。
・介護福祉士資格を取得する
・ケアマネを取得する
・夜勤の回数を増やす
・管理職で出世を目指す
・同じ会社で勤続年数を積み重ねる
・他事業所へ転職する
・勤務日数を増やす
・副業やバイトをする
おすすめ介護転職支援サイト
埼玉県で仕事をしていた場合、東京の特別区など地域区分が上にある施設に転職するなど、働く場所を変えるだけでも収入はアップさせることができます。
ブラックよりの施設では昇給はない施設や、処遇改善手当をきちんと支給してくれない施設もあります。
おかしいな、と疑問に感じた場合は転職も検討してみましょう。
介護士が取得するべきキャリアアップのための資格
本章では介護士として勤務していくためには必須の資格を紹介します。
介護士には認定介護福祉士など民間資格も数多くありますが、以下の2つの資格は転職の成功率アップには欠かせない資格です。
まだ取得していない場合は積極的に資格取得を目指しましょう。
・介護実務者研修資格を取得、3年以上の実務経験を積む
・専門学校などの養成校を卒業する
・福祉系の資格取得が可能な高校を卒業する
メリット 取得しやすく合格率が高い
一度取得すれば更新不要で、永続して資格保有できる
デメリット
なし
- ケアマネージャー(介護支援専門員)
・実務経験5年以上積む
・特定の国家資格を取得(介護福祉士推奨)
・介護支援専門員実務者研修を受講する
メリット
資格取得の合格率が低く、需要が高い資格である
独立し一人ケアマネも可能
デメリット
定期的に長時間の更新研修が必要である
2023年以降、今後給料は上がる?
処遇改善加算が開始されてから10年ほど経過し、現在では特定処遇改善加算、ベースアップ加算などの複数の加算が出ています。
岸田総理も介護職員の処遇改善は進めていく、という話もされていました。
今後高齢者の増加に伴う介護士の人材不足はしばらく続いていくと思われます。
介護業務は人手がなくては成立しない仕事です。
ITによる効率化はされていますが、どの事業所も人は足りていないのが実情です。
いまだ介護士は平均的な年収に至ってはいませんので、待遇改善は継続していく可能性が高いです。
実際の求人情報から見る2023年介護士の平均年収・時給は?なぜこんなにも数字が違う?
求人ボックスさんからのデータを参照させて頂きました。
2023年6月に求人ボックスに掲載されていた介護士の正社員の平均年収は317万円
最大ボリュームゾーンは276~338万円ということでした。
平均時給は1,114円です。
そもそもの話なのですが、データ元について情報がかなり違うんですよね。
よく参考にされるデータ元は厚生労働省調査のこの2つ
同じ厚生労働省の調査なのですが、調査対象が違います。
対象事業所の規模が違う
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果は処遇改善加算を取得可能な施設が大半であり、大規模な施設が多いです。
最大の調査対象数の特養の場合は30床以上からになっていますし、最も多いボリュームゾーンは51床から80床です。
職員は少なくとも30人以上はいると思われます。
職員や規模の大きさは経営規模に直結しますので、給料も多いです。
令和3年賃金構造基本統計調査では5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所となっています。
分母となる事業所の経営規模に違いがあり、こちらの方が経営規模が小さい事業所が多く、平均を下げています。
調査の平均年収が高い理由は調査施設の経営規模が大きいから
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の対象からわかるように、介護施設の大型化と効率化は進んでおり、良い事業所の平均的な年収が430万円ということです。
こういった事業所は求人自体が少ないですし、競争率も高くなっています。
ではなぜ介護施設はどこも人手不足なのか、というと
求人の出ている優良な施設も
・介護の仕事自体拒否傾向がある
・他業種の方が待遇がいい
・他業種の方がやりがいが感じられる
などの理由で人材がこないからです。
そのため、SNSなどでも
こんな待遇の職場はない
あったらすぐいくわ
などの話は出てきてしますのです。
要するに転職してしまえば、解決する問題なのですが、転職ってハードル結構高いんですよね。
そのため、負担を軽くサッと転職するため、支援サービスを使う人も多いです。
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介護士の平均年収まとめ
介護士の平均年収まとめ
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地域加算があるため、都道府県によって介護報酬が違う(最大20%)
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勤務する事業所や、経験年数により平均年収が変わる
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資格を取得することで給与はアップしていく
介護士は働く場所によって、大きく年収を変化させることができる職業です。
平均より低い場合、転職するだけで大幅に年収アップをすることも可能、しかもそこで勤続年数を重ねていけば、さらに年収は上がっていきます。
どこで働くのか、その点は重要視される職業ですね。
生きていく上で年収の高い低いはワークライフバランスがどうなるか、に直結します。
良い事業所であれば、月10休み、年休120の会社も珍しくありません。
良い会社は平均年収も高い傾向にありますので、良い会社を見つけること、介護士として働く場合はそこを優先的に考えていきましょう。
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